ヒトラー 最期の12日間
実はこの前ようやく
ウィストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
を見ました。↓
チャーチルの映画はまだナチス・ドイツ軍が優勢だった頃(1940年)で、狂気の独裁者が自国に迫ってくる中で彼の不安、葛藤、勇気ある決断などが詰まっていてとても考えさせられる作品でした。
その作品を見終わった後、ふとヒトラー側から見た戦争、終結を知りたいと思い探して見つけたのがこのヒトラーの映画だったのです。
感想・レビュー
「ヒトラーは人間だったんだ」
え?と思われそうな感想ですが、わたしがこの作品を見て抱いた一番の感想はこれです。
ヒトラーといえば、誰もが知っている残酷な独裁者。残虐で、身勝手で、冷血で、とても恐ろしく許してはいけない存在。
そう思っていましたし、今も変わりません。
彼がしたこと、ナチス軍がしたことは、決して忘れてはいけない、繰り返してはいけない出来事です。
ただ、「ヒトラー」という存在は知っていても、実在していた人間としてしっかり認識していなかったのかもしれません。
この映画に出てくるヒトラーは、終戦間際でもはやドイツには打つ手がない状況の頃(1945年。)
映画全体を通して淡々とした絶望がヒトラーやその周囲の人々を取り巻いていました。
彼は
もう勝つ見込みはないが、ベルリンを離れたりはしない。
と残留を決め、部下の裏切りは許せずとも、秘書たちは早くここから逃げるように勧めていました。
さらに愛人だったエバァと正式に夫婦となり、最後の時は彼女と過ごし、死ぬときも彼女と一緒でした。
たったこれだけの事にさえ、人間味を感じてしまうくらい、今までヒトラーをどこか違う世界のモンスターだと思ってしまっていたのだと思います。
刻々と迫ってくるロシア軍。
例えどんな命であっても、亡くなるのはとても哀しく辛いです。
ヒトラーの愛犬を毒殺した後、ヒトラーとその妻エバァも毒を飲みそのまま銃で自殺しました。
その後、側近の子供たちも親の手から毒を飲まされ亡くなります。そして側近夫婦も自殺してしまいます。
捕まって捕虜になったり、殺されたり死刑になるくらいならいっそ自分で。と思ったのかもしれません。
他にどうしようもなかったのか??
と言葉に出来ない虚しさに襲われました。
ヒトラーの事を慕う部下たちもたくさんいて、ヒトラーはヒトラーなりの理想思想があって、彼なりの正義だと思ってナチスを作り上げたのかもしれない。
彼も一人の人間だった。
もはやわたしの中でヒトラーは歴史上のモンスターではない。
同じように息をして、赤い血が流れていて、感情がある人間。
人間があんな残酷で残虐な事をやってのけたのかと思うと、とても恐ろしく、哀しく、耐えがたいという感情に襲われました。
これを機会にその頃の歴史をまたもう一度知りたい、知らなければ。
そう思います。
色んな事を考えさせてくれる映画でした。