ジェラシック・ワールド~炎の王国~…★4.0
あらすじ
かつてのジュラシック・ワールドであるイスラ・ヌブラル島には多くの恐竜達が自然のままに生息し続けていた。
しかしイスラ・ヌブラル島では火山噴火による恐竜たちの絶滅の危機を迎える事態に陥る。
そんな中、恐竜を救うのか絶やすのかで議論をする人間達。
かつてのジュラシック・ワールドの責任者だったクレアは恐竜を救うためにロックウッドの元へ行き、恐竜を救うための支援を依頼する。
元恐竜監視員のオーウェン達を連れイスラ・ヌブラル島へ降り立ったクレア達だったが、そこで待っていたのは荒れ狂う火山、自然に帰していた恐竜達、そして恐竜を売りさばこうとするイーライの仲間たちだった。
彼らに騙され命の危機に陥るも、仲間を助け生還しようと奮闘するクレア達。
そしていつしか彼らの手に恐竜、そして人類の運命を委ねる瞬間が訪れる…
話の中心にあるのは人間のエゴ
遺伝子操作を行い恐竜を甦らせたのは人間。
その恐竜を金儲けの道具としか考えていないのも人間。
金儲けのことだけを考え凶暴度を増したハイブリッド恐竜を産み出したのも人間。
そんな恐ろしい恐竜作ってどうするの??
戦争の道具にする気??
と思うけど、きっと儲けることしか考えてない。
そしてそんな恐竜を欲しがるオークションの客達も、それを餌にお金儲けをすることしか考えていない。
結局、金儲けというエゴを捨てきれなかった人々は次々に恐竜に襲われて命を落とし、恐竜は世に解き放たれる結果に。
人間の知能技術の進化は本当に物凄いもので、そのおかげでわたしたちの生活も豊かになっているのは確か。
だからこそ、その技術を悪用しない強い理性と、リスクへの想像力がなければ、進化は必ずしも善ではなく人類が滅びるきっかけになるとぞっとした。
恐竜か人間か。自分ならどうする?
恐竜の命を助けると人間の驚異になる。
そんな状況に自分が晒されたとしたら。
クローンだろうとなんだろうと、今そこに命があって、もしかしたら感情もあるのかもしれない。
何より人間が作り出したのに、人間の都合で絶やしていいのか?
だけどゲートを開けて解放してしまったら、もう手の施しようがなくなる。
自分ならどうする?とハラハラしながら見守りました。
そんな状況でゲートを開けるボタンを押してしまったメイシー。
自分が恐竜達と同じクローンだと知ってしまい、きっと自分と恐竜を重ねて、クローンだとしてもこんな狭い所で絶滅するのではなく、自由な世界で生きてほしいと願った行為なのでしょう。
これからはたくさんの恐竜が世界を闊歩するのです。
この小さな少女の判断で、世界の運命が大きく変わった瞬間でした。
自由であることは生きること。
自由でいることの尊さにはっとしたシーンがあります。
ブルーにオーウェンが「安全な場所に一緒に行こう」と声をかけますが
ブルーは檻に目をやり、鳴きながら他の恐竜が消えた自然の中に向かっていく。
折の中で保証される安全なんていらない。
それよりも自由で生きる。
と言っているように見えました。
確かに人間が恐竜に与える安全は、第一に人間が安全であるという前提があっての事で、恐竜にとっては捕らわれて自由を無くすという事。
安定して食料を与えられ、医療を受けられたとしても、それは恐竜にとったら幸せでも何でもない。
彼らは自由でいることが最大の生きる理由で、
人間が彼らに与える安全は彼らにとってはエゴでしかないのだ。
なんだかはっとさせられました。
ジュラシックワールドの始まり
ジェラシックワールドの幕開けに相応しいラストの展開はまさに壮大。
屋敷から恐竜達が解き放たれ、人間と恐竜が共存する時代、まさにジュラシックワールドの始まり。という流れで物語は締め括られる。
閉ざされた自然から、開かれた世界で自由に生きる恐竜達の姿を印象的に描きエンドロールを迎えました。
空を見ても陸を見ても、いつどこと恐竜と遭遇するのか分からないってめちゃくちゃ怖い。
進化に驕りすぎた人間が招いた事態。
これからどう生きていくのか?
恐竜と共存なんて成り立つのか?
願わくばジュラシックワールドと化した世界がどう続いていくのか、続編で描いてほしいと思いました。